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新型コロナウイルスの影響が、不動産業界にも甚大な影響を及ぼしている。不動産業界における新型コロナウイルスの影響と、テレワークに関する調査レポートが発表され、不動産事業者の83%が、新型コロナの影響を受けていると回答した。
調査を行ったのはテクノロジーで不動産の賃貸取引をなめらかにするイタンジ株式会社、VRクラウドソフト「スペースリー」を運営する株式会社スペースリー、不動産管理会社向け業務支援ソフトウェア「WealthParkビジネス」を提供するWealthPark 株式会社の3社である。
最も不安を感じるのが「来店数の減少」(42%)
次いで「内見数の減少」(41%)
上記の3社は、不動産事業者を対象とした、テレワーク推進に関するオンラインセミナーを緊急開催し、170名を超える不動産事業者が参加した。そこで、不動産業界における新型コロナウイルスの影響とテレワークに関するアンケートを実施した。
「新型コロナウイルスによる業務への影響を感じていますか?」の問いには、回答者の83%が「影響がある」と答えた。
「どの部分への影響があると感じていますか?(複数選択)」では、「来店数の減少」が最も多く42%。次いで「内見数の減少」(41%)、「法人問合せ数の減少」「WEB問合せ数の減少」(共に29%)、「入居キャンセルの発生」(28%)が多い。
「新築物件工事の遅れ」(16%)や「部材の原価高騰、調達の難化」(3%)も見られる。「賃料の減額」と回答したのは2%にとどまっているが、今後、増える可能性は大いにあるだろう。
テレワークに対応できているのは42%
不動産事業者の半数が対応できていない
つづいて、不動産業界における、テレワークの現状に関する調査結果を見てみよう。「テレワークの準備状況について教えてください」の問いに対して、「既に全社員テレワーク対応ができている」と答えたのは13%で、「一部社員が行っている」(29%)と合わせると、回答者の42%がテレワークを導入していることになる。
これまで不動産業界では、内見から契約、入居後の対応からオーナーへの報告業務まで、対面で対応が中心であった。テレワークによって、一時的に対応ができるにしろ、テレワークでの業務に不安を感じる人も多い。
テレワークでの「賃貸管理業務」の不安な部分では、「入居者対応業務」と回答した人は半数を超え、次いで「オーナー報告業務」(45.2%)、「建物巡回業務」(39.3%)が続いている。
「賃貸仲介業務」の中で不安な部分としては、「物件内覧方法」と回答した人が56%と最も多く、「契約手続き方法」(44%)、「鍵の引き渡し方法」(39.3%)が続いた。
最近では、横浜市で、内見中に不動産業務にあたっていた女性が刺される事件が発生し、無職の男が強盗殺人未遂の疑いで逮捕された。今後、安全面や防犯面からも、テレワークによる内覧が進んでもいいのかもしれない。
不動産業界でも採り入れたい
テレワークに便利なツールとは?
テレワークを導入している企業は、どのようなツールを用いているのだろうか? 調査結果によると、最も多く利用されているのが、社内でのコミュニケーションを円滑にする「チャットツール」(63%)で、次いで「グループウェア」(56%)、「WEB会議システム」(55%)、「勤怠管理システム」(49%)だ。
不動産業界でも役立つツールとして、「電子申込ツール」(28%)、「スマートロックや現地キーボックス」(25%)、「電子契約ツール(IT重説)」(24%)、「VRツール」(20%)、「入居者アプリ」(15%)、「オーナーアプリ/オーナーポータル」(9%)、「セルフ内見システム」(5%)などがある。これらの利用は、今後、不動産業界で広がっていくのではないだろうか。
ちなみに、今回のアンケート調査を行った3社では、不動産業に役立つツールの開発をそれぞれに行っている。
イタンジ株式会社では、AIを活用した賃貸不動産仲介の営業支援システム「ノマドクラウド」、賃貸業務のワンストップサービス 「Cloud ChintAI(クラウドチンタイ)」、セルフ内見型お部屋探しサイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」の開発、運営を行っている。
株式会社スペースリーでは、高品質のパノラマVRコンテンツの制作・編集・管理、活用までが一括してできるクラウドソフト「スペースリー」や、360度空間データや視線データの活用のためのAI x VRの研究開発を推進するための「Spacely Lab」の運営を行っている。
WealthPark 株式会社では、収益不動産管理に特化したサービスの提供や、資産管理用ソフトウェアの提供(投資家対応サポート)などを行っている。
新型コロナの影響で、今後ますます、不動産業界は大きな影響を受けることになりそうだ。その中において、デジタル化にいかに対応できるかどうかが、引き続き課題となりそうだ。
健美家編集部(協力:高橋洋子)