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まず前提として、賃貸住宅は間取りやデザインなどについては大きな変化が起きにくい構造になっています。それにはいくつか要因がありますが、
(1)既に多数のストックがあり、新築物件は多くない
(2)家を借りる人と建てる人が別である
(3)デザイン・間取りも大多数の人に嫌われないことが大切
というのが大きな理由です。借り手がどんな人になるかわからない以上、特別好かれなくても「嫌われない」お部屋づくりを基本にするのは、わかるような気がします。とはいえ、物件や大家さん側の意識にも少しずつ変化があり、また家を探す側、お部屋の探し方や意識が変わってきているため、個性的な物件が出やすい土壌になってきたといいます。
「今、お部屋を借りて住み替えたいと思う人は、物件情報を収集・検討する期間が長くなっています。ルームツアー動画も人気がありますし、引越す気がなくともスマホで日常の合間合間に『物件を見ている』という感じで、お部屋探しの情報にふれる期間が長くなっているんですね。ネットに載る物件情報もひとつひとつが詳しくなっており、いわゆる『コンセプト賃貸』のような、個性ある物件についても差別化され、借りたいと思う人とマッチングしやすくなっているんです」
ただ、ネット上で決めてしまい、リアルには物件見学しないというわけではなく、訪問や内見「現地でしか見られない状況を確かめる」「入居前の最終確認」という位置づけになっているそう。
また、お部屋を借りる人が長く情報収集・物件の資料を見続けることで、目が肥え、「防音設備が整っていてYOUTUBEでオンライン実況ができる」「大型犬が飼える」「入居者同士のコミュニティがある」「菜園がある」といった特色ある物件が差別化され、「ニーズを捉えていれば、借り手が見つかる」「そのような特別な特徴に強く惹かれた入居希望者が何年も入居待ちしている」という状況も生まれています。これは「入居者に愛される賃貸をつくりたい」「マッチした人に長く住んでほしい」と考える大家さん、「似たような部屋しかない」と不満に思う借り手、双方にとって幸せな流れといえるでしょう。